TAVI治療実績41件 (2017年3月 現在)
TA(経心尖部アプローチ)11件
TF(経大腿部アプローチ)30件

経カテーテル的大動脈弁植え込み術「TAVI」とは

「TAVI」とはTranscatheter Aortic Valve Implantation の略で「経カテーテル的大動脈弁植え込み術」と訳されます。

胸を開かず、心臓が動いている状態で、カテーテルを使って人工弁を患者様の心臓に装着する治療法です。

この治療は、心臓の弁が上手く機能せず、息切れなどの症状が出る「心臓弁膜症」の患者様で、高齢などの理由で手術をあきらめていた方に対する新しい治療の選択肢となります。

2002年にフランスで初めて治療応用に成功し、世界では欧米を中心に2013年現在9万例近い治療が行われて来ました。

経カテーテル的大動脈弁植え込み術「TAVI」

心臓弁膜症ってどのような病気なの?

心臓には4つの弁があります

心臓には4つの弁があり、それぞれ僧帽弁(そうぼうべん)、 三尖弁(さんせんべん)、 大動脈弁(だいどうみゃくべん)、 肺動脈弁(はいどうみゃくべん)と呼ばれています。

僧帽弁は左心室と左心房の間、 三尖弁は右心室と右心房の間、 大動脈弁は左心室と大動脈の間、 肺動脈弁は右心室と肺動脈の間にあって、各弁は血液が逆流するのを防ぎ、心臓が血液を押し出すために重要な役割を担っています。

また、心室と心房の間にある僧帽弁と三尖弁を房室弁、心室と動脈との間にある大動脈弁と肺動脈弁を半月弁と呼んでいます。それぞれの弁は2つないし3つの尖(せん)からなっており、僧帽弁のみ2つの尖からなる特徴的な形をしています。

心臓には4つの弁があります

心臓弁膜症は2種類あります

これらの弁が異常をきたしてしまう病気が心臓弁膜症であり、狭窄症と閉鎖不全症との2種類があります。

狭窄症は、弁が癒着してしまうことによってしっかり開かなくなり、心臓が血液を押し出す機能が損なわれます。

閉鎖不全症は、弁の硬化や破損によって弁がしっかりと閉じなくなり、血液の逆流がおこります。また、狭窄症と閉鎖不全症が同時に存在することもあり、これを狭窄症兼閉鎖不全症と呼びます。

心臓の弁は4つありますので、心臓弁膜症には、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、肺動脈弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖不全症、三尖弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症、という8つの病態、またはそれらが複合したものがあります。

心臓弁膜症は2種類あります

原因は何?

心臓弁膜症の原因となるものには、心筋梗塞、リウマチ熱、動脈硬化、先天奇形などがあり、他にも原因が特定できないケースもかなりあります。

過去には子供のころにかかったリウマチ熱の後遺症により大人になってから発症するものが多かったのですが、抗生剤の開発と普及により減少しています。現在では高齢化のため、動脈硬化によっておこる大動脈弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症が多くなっています。

どんな症状があらわれる?

心臓弁膜症の症状は、どの弁におこるのかによって多少違ってきますが、基本的に心不全の症状があらわれてきます。なかでも高齢者に多い大動脈弁狭窄症と大動脈弁閉鎖不全症の症状をご紹介しましょう。

大動脈弁狭窄症では、全身に血液を送る左心室の出口が狭くなってしまうため、労作時におこる狭心痛、脳への血流減少による失神、心不全による息切れや夜間の呼吸困難など、左心に特徴的な症状があらわれます。

大動脈弁閉鎖不全症では、左心室の出口がきちんと閉じなくなってしまうため、本来は左心房から左心室へと血液が送られるはずの左心室拡張期に大動脈から血液が逆流してしまいます。このため左心室に負荷がかかって次第に拡張し肥大してしまいます。

どんな症状があらわれる?

症状が現れるまでにはかなりの期間がかかりますが、狭窄症と同様に狭心痛と心不全による息切れや呼吸困難があらわれます。

「TAVI」は手術が困難な患者様が対象の治療法です

TAVIは低侵襲に加えて、人工心肺を使用しなくて済むことから、患者様の体への負担が少なく入院期間も短いのが特徴ですが、前提として、高齢のために体力が低下している患者様や、他の疾患などのリスクがある患者様など、外科的手術が困難な患者様が対象になります。

例えば、下記に該当する症例の患者様に対して、TAVIが一つの選択肢になります。

  • ご高齢の方
  • 大動脈が高度に石灰化している方
  • 胸部に対する外科手術の既往のある方
  • 冠動脈バイパス手術の既往のある方
  • 頸動脈狭窄や慢性閉塞性肺疾患の合併症のある方
  • 肝硬変の合併症のある方

カテーテルを使って人工弁を留置するイメージ

「TAVI」のメリット

  1. 大きな切開が不要太ももの付根(そけい部)あるいは左胸部に、それぞれ1センチないしは数センチの皮膚切開をして行いますので、これまでのように胸を大きく切ることはありません。
  2. 心臓の停止、体外循環装置は不要心臓はいつものように動いたままの状態で生体弁を移植できます。生体弁は、移植されると同時に速やかに新しい弁として機能し始めます。この過程において、本来の心停止や人工心肺のようなおおがかりな装置は一切不要です。
  3. 施術時間が短い従来の外科的開胸手術だと半日ほどかかりますが、TAVIでは大幅な時間の短縮ができ、患者さまへの負担も大幅に軽減します。
  4. 術後の回復が早い術後の集中治療室での滞在期間は1日程度です。リハビリも術後速やかに開始して早期に退院できます。

「TAVI」のプロセス

ハートチームによる治療体制

ハートチームによる治療体制

TAVIを行うにあたって、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、心エコー医、放射線科医、リハビリ科医、コメディカルが協力して治療にあたる「ハートチーム」が結成されます。

診療科の垣根を超えて、それぞれの専門分野の知識や経験を駆使し、患者様に一番良い治療を選択し、術後管理までその全てのプロセスを「ハートチーム」で行います。

適応診断プロセス

患者様の紹介後、「ハートチーム」が下記のプロセスで詳細な評価を行います。

適応診断プロセス

治療費について

TAVIの治療には健康保険、高額医療制度が適応されます。費用は年齢や所得によって異なりますが、おおよそ5万~20万円です。

TAVI治療における費用について
[例]TAVI治療入院(約7日~14日)の場合。※下記はあくまで概算で、部屋代・食事代は別途必要です。

健康保険を使用される場合

70歳未満の方 約180万円(3割負担)
70歳以上の方 44,400円(所得により異なります)

高額療養費制度を利用される場合(一般所得の場合)

70歳未満の方 約14万円
70歳以上の方 44,400円

よくある質問

希望すればTAVIを受けることが出来ますか?
TAVIは高齢のために体力が低下している患者様や、その他の疾患を持つ患者様等が対象の治療法です。治療の基本は外科手術であるため、ただ単に「手術が嫌だ」と言う理由では治療を受ける事が出来ません。TAVI 治療の必要性につきましては、当院の専門の医療チームで判断致します。
TAVIを含めた心臓弁膜症の治療の相談をしたい場合はどうしたらよいですか?
心臓弁膜症に関するご質問・お問い合わせにつきましては、地域医療連携室等にてご連絡をお受けし、診療科担当医師におつなぎするシステムをとっております。お問い合わせの内容によっては当日お答えできない場合もございますので、何卒ご了承願います。 ご連絡先 TEL:098-895-1149 / FAX:098-895-1416
TAVI治療が受けられない症例はありますか?
以下に該当する患者様の場合、現時点ではTAVI治療が受けられません。患者様の状態によってはバルーンカテーテルのみによる大動脈弁カテーテル治療(バルーン大動脈弁拡張術:BAV ※)が可能な場合もあります。 透析を受けている患者様(※) 先天的に大動脈弁が二尖弁の患者様 以前に手術を受けた際の人工弁(生体弁)が機能不全の患者様 ※BAVは一般的には局所麻酔で行うため、より重症の患者様でも治療が可能です。※国内に於いて 、透析を受けている患者様への保険適応はされておりません。(2014年2月現在)
年齢が若い患者様は受けられないと聞きましたが本当ですか?
TAVIが始まってからまだ10年程度しか経っておらず、それ以上の長期成績が判断できません。そのため、現在では60~70歳程度までの患者様であれば通常、長期成績も担保されている外科的大動脈弁置換術 (SAVR)が標準治療となります。しかし、これまで何度か開胸手術を受けたり、手術の危険性が高い方などは、TAVIの適応が検討されます。
治療による痛みはありますか?
治療は基本的に全身麻酔で行われますので痛みを感じることはありません。治療後にカテーテルを挿入した足の付け根に不快感があったり、経心尖アプローチの場合には傷口の痛みが残ることがあります。全身麻酔の場合は術後にのどに違和感をおぼえたりすることがあります。これらは数日から一週間でおさまります。局所麻酔で行う際にも局所麻酔以外にも鎮静剤(睡眠剤)を用いて術中は軽くウトウトした状態で寝て頂くことが多いです。
どんな合併症がありますか?
大きな合併症は死亡、心筋梗塞、脳卒中、弁輪破裂、左心室破裂、カテーテル弁の移動、急性大動脈弁閉鎖不全症(結果として急性心不全)、血管損傷(動脈解離、破裂)、房室ブロック(永久ペースメーカー)などがあります。これらの事態には迅速で対応する必要があり、場合によっては緊急で開胸術や開腹術(血管損傷の場合)に移行しなくてはならない場合もあります。この治療が誕生した当初は合併症の率が高かったですが、デバイスの改良、経験の蓄積により、年々成績が改善しています。アプローチ部位、施設や地域、施行された年代によりヨーロッパやアメリカ、日本でレジストリ研究や治験の結果から、術後30日間の死亡率は約5%まで改善しています。日本では昨年10月より保険償還されていますが、現在(2014年8月)までに600例以上の患者様がこの治療を受けており、未だ少数例ながら、30日死亡率は1%程度となっています。
TAVR TAVI治療の治療費はどれくらいかかりますか?
2013年の10月より、TAVI治療が健康保険の適用となりました。さらに、高額療養費制度をご利用することにより費用の負担を少なくすることが可能です。

現時点でTAVIが困難な症例

  • 従来の外科的大動脈弁置換術が可能と判断された方
  • 維持透析を行っている方
  • 大動脈弁が単尖弁または二尖弁の方
  • 高度の大動脈弁逆流症を合併している方
  • 末期の悪性疾患の方
  • ハートチームによる検討で治療を行わない方がいいと考えられた方

実績

当院でも2014年5月にTAVIハートチームを立ち上げ、2015年8月に県内で初めてTAVIを施行しました。
2017年3月現在までに、41人の患者さんをTAVIで治療しました。

  • 当院1症例目当院1症例目ご家族「治療後1年半くらい経ちますが、息切れなく生活していますよ」
  • 当院7症例目当院7症例目ご本人「治療していただいたお陰で長生きできています。感謝しています」

地域連携病院・関連病院のご案内

窓口:第三内科 岩淵 成志 / 第二外科 永野 貴昭

【患者さんが琉大外来受診可能な場合】
診療情報提供書を琉球大学附属病院 医療福祉支援センター シエントに連絡。
FAX 098-895-1498、TEL 098-895-1159、1371
外来での検査(精密心エコー、胸腹部造影CTなど)を予約し、その日に受診していただく。

【患者さんが琉大外来受診できない場合】
診療情報提供書を琉球大学附属病院 医療福祉支援センター シエントに連絡。
FAX 098-895-1498、TEL 098-895-1159、1371
入院先の病院のDrと相談の上、出張し、説明・諸検査します。